陶磁器徒然&買取例




シンブル(指貫) 深川製磁 16種

2013/07/21 2:55 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/07/21 3:13 に更新しました ]







深川にこういう製品もあったんですね~

ホールマーク、
あやめ(グリーン)、竹に雀、
浜千鳥、蘭、夫婦鶴、
梅丸紋、金彩梅、六歌仙、鳳凰、
富士、小菊、錦丸紋、瑠璃地菊、竹、


裁縫しませんが、場所も取らないし、欲しいかも・・・

銘も、初めて見るもので、アルファベットの「FUKAGAWA」

海外向けに作られたものでしょうか?

コレクター様からのお買取りです。

お売りいただきありがとうございました。










白妙磁の世界 庄村久喜展 2013年7月23日~29日 そごう横浜店 6階

2013/07/16 18:34 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/07/16 19:48 に更新しました ]




うーん、関東の方々がうらやましい…

福岡でもめったに見られない、庄村久喜さんの大きな個展の案内が届きました。

場所は、そごう横浜店・・・ うーん、行きたい。自分の好きなことがどんどんできるような環境にあればきっと行ってたでしょう・・・。


西日本を中心に、多数の作家陶磁器を見続けているつもりではいますが、

庄村久喜さんは、若手の域を超えて、

次の時代を切り開くポジションにいるような作家さんで、

しっかりとした有田の、伝統、技をベースに、そういった伝統色を感じさせずに、新しい時代の陶磁器を見せてくれます。

COOL JAPAN って、アニメなどのイメージが強いですが、私に言わせると、庄村さんの作品はまさに、COOL JAPANと言えると思います。

「にっぽん」 ではなく、「JAPAN」 ね。

陶芸の世界にありがちな、視線が後ろ向き(過去を見ている)ではなく、現在や、その先を見ている視線がいいですね。


素材についてですが、

一般的には、有田焼の、磁器の釉薬は、ガス窯の場合は、石灰釉という焼成後はガラスコーティングされたようになるものを使うようですが、

庄村さんの白妙シリーズは、素材である、陶石から作り出した釉薬を使います。

極薄、かつ素材の陶石をダイレクトに感じさせてくれるような磁肌が美しいです。


その、極薄の釉薬が、繊細な表現を可能にしており、

微妙な凹凸や、釉薬の掛け分け、ダイナミックな鎬(しのぎ)、ろくろ目の凹凸等、天草陶石の美しい「白」の表現に幅と深みを与えています。

白妙(しろたえ)というような、女性的なネーミングではありますが、


個人的には、作業工程を知ってしまうと、健康大丈夫だろうか?と言う位身を削って作陶をされており、

私の中では、「ZEN」(禅)シリーズ と、心の中で読んでいます。

何しろ、自問自答を続けながら取り組む作陶姿勢が、求道的ですし、

作品がぬるくない、一見柔らかい印象ですが、その内部に秘めたある種の厳しさ、「白とそこに差す影(黒)」の表現が、禅に通じるものがあると思います。

何故この材料なのか、何故この釉薬なのか、何故このシェイプなのか、有田焼とは?、伝統とは?ろくろ技術とは?、陶芸作品とは?そういう、自問自答が形になったような作品を次々と発表しています。

庄村作品は、出来上がった作品と同じくらい、その背景にある思想、試行錯誤、自問自答が重要で、何故この作品なのか?

そういうものを読み解いたり、作品が生まれる経緯を追いかけることはとても面白いです。

評価が高まった大先生の過去の作品を掘り下げていくのではなく、現在進行形で彼の作品を追いかけることができるのは、幸運なことだと思います。

理屈っぽいことを長々と書きましたが、

「いや、そうじゃなくて、庄村作品はこういうところが魅力だよ」

と、人それぞれの思いがあっていいと思いますし、なにより、

何も考えずに見て美しい作品ばかりだと思います。

陶芸に興味のない方も、関東近郊の方々は是非足を運んでみてください!






青木龍山 染付小皿

2013/07/15 2:16 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/07/15 2:22 に更新しました ]



青木龍山さんの 染付作品

のびのびと、素早く描かれた染付のラインがいいですね。


もともと、有田焼は、丁寧な絵付けが特徴ですが、

その枠から抜けていこうとする、龍山先生の意図があったのでは?と思ったりします。

絵付けだけでなく、轆轤成形したものをあえて、指で凹凸をつけています。

青木龍山といえば、天目のイメージが強いですが、

轆轤を否定するかのようなこの凹凸も、もっと注目されてもいいのでは?と思います。


お売りいただきありがとうございました。



工業製品とは違う価値観、手わざの美 その2

2013/07/14 19:43 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/07/14 20:33 に更新しました ]



香蘭社の香炉

手描きです。おそらく、ガス窯かなと思います。


でも書いたように、ぱっと見似たようなものは、転写の技術を使って量産できたりしますが、

同じように見えるものでも、そこに至るプロセスを見ると、

高い絵付けの技術を持った人でないとなし得ないものと、

量産できるもの

とか、

その品物ができるまでにかかった、時間や労力

等、品物の背景にあるものに思いをはせると、

同じように見えるものでも、ずいぶん違ってくるように思います。

もちろん、転写にも試行錯誤や様々な努力がありますので、

転写がだめといっているわけではなく、「良いものは良い」

という結論になりますが・・・


なので、手描きの上に、ガス窯ではなく、薪窯になると、ちゃんと焼き上げることに対する難易度が飛躍的に上がりますので、

薪窯焼成の出来の良い品などは、本当に味わいがあるというか、奥行きがあるというか、

白 の表情が、繊細で、表情豊かですね。

お売りいただきありがとうございました。






深川製磁 花丸紋 ST碗皿 買取

2013/07/10 1:47 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/07/10 2:16 に更新しました ]



深川製磁 花丸紋 口縁



深川製磁のロングセラーな定番柄、花丸紋のデミタスカップ&ソーサーです。

この柄と同じ柄のものが、チャイナオンザパークの忠次館に高橋是清が使用していた食器として、展示されていたように記憶しています。

チャイナオンザパークはとても素敵なところですので、九州旅行を考えられている方々には、九州に旅行された際は是非立ち寄っていただきたいところです。


それはさておき、時代を超越した優れたデザインと、

お気づきでしょうか、カップの底がツルツルです。

カップを逆さまにして焼成しているので、ツルツルなんです。

これで、ソーサーに傷が入りにくくなります。

そして、口縁は金彩を施していますので、ラグジュアリーな雰囲気が出ていますね。

確か、ロイヤルコペンハーゲンのブルーフルーテッドなども、そこがツルツルだったと記憶しています。

そういう配慮がなんだかいいですよね。


お売りいただきありがとうございました。





30年以上眠り続けていた品物を「生かす」お手伝い

2013/07/09 2:22 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/07/13 19:50 に更新しました ]



香蘭社深川製磁のちょっと、いや、結構古めの箱入り未使用品の品々・・・。

効率から考えると、もっと新しい製品がいいのでしょうが、手入れとかちょっと手間がかかりながらも、ちょっぴりワクワクしている自分がいます(笑)

古いからと言って、価値がないわけではなく、決して、捨てるものではありませんね。

食器、いや、モノは、使われるために生み出されているので、使ってあげることこそが、モノが生きる事だと、最近思うようになりました。

だから、もったいないから、趣味が合わないから使わないで取っておく、という行為は、

モノを生かさないばかりか、収納スペースも生かさないことになると思っています。

使わないと、判断されるものは、必要としている人に託すことが大事で、我々のお仕事の一つはその仲介かなと・・・

使わないものを、必要とする人に渡すことで、モノも生きるし、今まで死んでいたスペースも生きてきます。

スペースが生きると、生活がより快適になり、よりよく生きる事にもつながるのではないでしょうか?




ついでに、今回お売りいただいた、品物に関する徒然・・・


この箱は初めて見ます。


中には、香蘭社の定番柄オーキッドレース

裏の銘は、

ふんわりして、カワイイ銘ですね。



深川製磁の夫婦鶴、瑠璃釉の金銀彩でデザインされております。
酸化して、変色していたので磨いてあげました。
例のごとく、ビフォーを取り忘れましたが…


北欧デザインに通じるような、シンプルさとかわいさのあるデザインですね。
この柄は初めて見ます。
お菓子をちょこんと載せるとティータイムが楽しくなりそう。

中古の食器を扱っていると、こういう品に出会えるのも楽しみの一つですね。
このデザインは、ちょっと、色合いを変えさえすれば、現代でも人気が出そうな気がしますよね。

長年、ずーっと、ずーっと眠り続けてきた、出番を待ち続けた器たちがやっと活躍できる時が近づいてきました。

割れてもいいから使ってあげる。これが、モノに対する愛情だと思います。

お持ちの、未使用の器はどんどん使ってあげることをお勧めいたします。

もし、使わないようであればお気軽にご相談ください。








前から入手したかった書籍をget!! 青木龍山聞書 陶心一如

2013/07/08 1:15 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/07/08 17:54 に更新しました ]





青木龍山聞書 陶心一如
荒巻 喬著
西日本新聞社 

絶版本で、入手できなかったのですが、

本日、お客様から買取させていただいた、青木竜山さんの花瓶の中に入っておりましたので、別途買取させてもらいました。

有田焼とは何か?

ということに対して、有田に今までなかった作風で一つの頂点を極めた青木龍山さんの言葉から何かのヒントを得ることができるのではないかと、思っています。

読むのが楽しみです。


お売りいただきありがとうございました。



何故こんなに低評価になってしまうのか? という状況を脱するために・・・

2013/06/19 7:15 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/06/19 21:08 に更新しました ]





先日、ご来店いただいた方に奥川忠右エ門さん(初代と思われる)の作品をご購入いただいたのですが、

何故お安いのですか?というご質問が・・・

現代の陶磁器は、一部の作家さんを覗いて、査定額が厳しい場合が多いです。

この作家さんが、何故こんなに低評価になってしまうのか?

と、思う事も多いです。

例えば、奥川忠右エ門さんなどは井上萬二さん(人間国宝)、中村清六さん(佐賀県重要無形文化財)等の師匠であり、職人の街であった有田で、作家という道を切り開いていったパイオニアの一人であり、大変重要な方であるにもかかわらず、その作品を求める方が少なく、そのため確たる相場が育っていない状況にあります。

出来れば、高く買い取ってあげたいけれども、現実を考えるとあまり突っ込んで買い取ってあげれないこともしばしば・・・・

現実を見るとそうなのですが、その作家さんの重要性を伝えていくことで、ファンが増え、相場が上がっていくというか、

この作家さんの作品を欲しいと言う方が増えることが、相場の安定と向上をもたらすというか、

そういうことなんだろうとも思います。

陶磁器関係は、若い世代にファンが少なく、需要と供給のバランスが崩れつつあり、供給過多になってきています。

供給が多いから、何でもかんでも安くなる。

ではなく、良い作品が、良い作品を生み出した作家さんがもっと正当な評価を受ける。

そういう状況になるために、自分に何が出来るのか?

もっと、考えていこうと思います。







奥行きのある美しさ

2013/06/11 21:32 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/06/13 23:22 に更新しました ]

深川製磁 牡丹金ミル 丸型6号鉢 買取


今となっては、殆ど見かけない、昔の紙箱

それはさておき、深川ブルーのグラデーション いいですね~。

深川製磁の歴史の中において、牡丹金ミルの発案はいつか存じませんが、

戦後~昭和時代を代表する意匠の一つとも言えるのではないでしょうか?


まぁ、それはよしとして、気になった点が・・・

横に入った線は見えますでしょうか?

これは、轆轤目と言って、轆轤をした時の痕跡なんですが、
それが見えています。

あえて見せていると言うよりは、見えないほうがいいけれども、焼成の関係で、見えてしまっているといった感じでしょうか?



でも、この線は、轆轤を引いた痕跡でもありますし、何も線が見えない品物よりも、美しさに奥行きが出てくるものだと個人的には思います。

合成の宝石は綺麗すぎるけれども、天然の宝石の美しいものは僅かに不純物が入っており、そういう影響もあって美しさに奥行きが出る。みたいな・・・

別の言葉で言うと、工業製品的ではない、価値観というか・・・

ハンドメイドによる、個体差、ゆらぎのようなものが、美しさに奥行きを与える的な・・・


ろくろ目があるから、査定額UPとかそういうことは一切ないのですが、

せっかく使うのであれば、こういう豊かさを感じさせてくれる品物は、プラスアルファとしての価値を感じさせてくれるのではないでしょうか?


お売りいただきありがとうございました。






初代 奥川忠右衛門さんの作品のお問い合わせ。

2013/06/11 20:08 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/06/11 20:24 に更新しました ]



お電話でのお問い合わせ。

結構大きな花瓶とのことでしたが、品物をみないとわからないことは踏まえた上で全般的な事をお話させてもらいました。

奥川忠右衛門氏は、今まで、有田に作家陶磁器という概念があまりなかった頃に、白磁の作家陶磁器としてその名を知られた方でした。

忠右衛門氏に弟子入りした、井上萬二さんは、人間国宝に、中村清六さんは、佐賀県の重要無形文化財になるなど、

佐賀の宝、有田の宝のような方だとは思いますが、今のところ、誰もが知っていると言うような方ではないのが現状です。

全国的に、奥川忠右衛門さんの作品を欲しいと思う方が大勢出てくると状況も変わるのかもしれませんが、

現状だと、今右衛門さん、柿右衛門さん、井上萬二さんのように、名前だけである程度高値が想像できるような方ではないんですというお返事に・・・


奥川忠右衛門さんは、これだけすごい方なんだ。作品は、こんなにすごいんだ。

ということを、発信し続けることも、大切なのかなと、お電話を切ったあとで、そう思いました。


お問い合わせありがとうございました。






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