白妙磁の世界 庄村久喜展 2013年7月23日~29日 そごう横浜店 6階

2013/07/16 18:34 に FUCHIGAMI KIYOSHI が投稿   [ 2013/07/16 19:48 に更新しました ]



うーん、関東の方々がうらやましい…

福岡でもめったに見られない、庄村久喜さんの大きな個展の案内が届きました。

場所は、そごう横浜店・・・ うーん、行きたい。自分の好きなことがどんどんできるような環境にあればきっと行ってたでしょう・・・。


西日本を中心に、多数の作家陶磁器を見続けているつもりではいますが、

庄村久喜さんは、若手の域を超えて、

次の時代を切り開くポジションにいるような作家さんで、

しっかりとした有田の、伝統、技をベースに、そういった伝統色を感じさせずに、新しい時代の陶磁器を見せてくれます。

COOL JAPAN って、アニメなどのイメージが強いですが、私に言わせると、庄村さんの作品はまさに、COOL JAPANと言えると思います。

「にっぽん」 ではなく、「JAPAN」 ね。

陶芸の世界にありがちな、視線が後ろ向き(過去を見ている)ではなく、現在や、その先を見ている視線がいいですね。


素材についてですが、

一般的には、有田焼の、磁器の釉薬は、ガス窯の場合は、石灰釉という焼成後はガラスコーティングされたようになるものを使うようですが、

庄村さんの白妙シリーズは、素材である、陶石から作り出した釉薬を使います。

極薄、かつ素材の陶石をダイレクトに感じさせてくれるような磁肌が美しいです。


その、極薄の釉薬が、繊細な表現を可能にしており、

微妙な凹凸や、釉薬の掛け分け、ダイナミックな鎬(しのぎ)、ろくろ目の凹凸等、天草陶石の美しい「白」の表現に幅と深みを与えています。

白妙(しろたえ)というような、女性的なネーミングではありますが、


個人的には、作業工程を知ってしまうと、健康大丈夫だろうか?と言う位身を削って作陶をされており、

私の中では、「ZEN」(禅)シリーズ と、心の中で読んでいます。

何しろ、自問自答を続けながら取り組む作陶姿勢が、求道的ですし、

作品がぬるくない、一見柔らかい印象ですが、その内部に秘めたある種の厳しさ、「白とそこに差す影(黒)」の表現が、禅に通じるものがあると思います。

何故この材料なのか、何故この釉薬なのか、何故このシェイプなのか、有田焼とは?、伝統とは?ろくろ技術とは?、陶芸作品とは?そういう、自問自答が形になったような作品を次々と発表しています。

庄村作品は、出来上がった作品と同じくらい、その背景にある思想、試行錯誤、自問自答が重要で、何故この作品なのか?

そういうものを読み解いたり、作品が生まれる経緯を追いかけることはとても面白いです。

評価が高まった大先生の過去の作品を掘り下げていくのではなく、現在進行形で彼の作品を追いかけることができるのは、幸運なことだと思います。

理屈っぽいことを長々と書きましたが、

「いや、そうじゃなくて、庄村作品はこういうところが魅力だよ」

と、人それぞれの思いがあっていいと思いますし、なにより、

何も考えずに見て美しい作品ばかりだと思います。

陶芸に興味のない方も、関東近郊の方々は是非足を運んでみてください!






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